2011年01月07日

『このミス』大賞、発売です! by乾緑郎

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明けましておめでとうございます。
今年もドキドキ、ハラハラおもしろい作品を
たくさん出していきたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。

さて、2010年10月1日にHPより発表した
第9回『このミス』大賞作品
乾緑郎著『完全なる首長竜の日』(1月8日店頭)が、いよいよ発売です!

発売を目前に、乾さんに
作品の意気込みを語っていただきました。

(『このミス』編集部)
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『このミス』大賞ファンの皆様、初めまして。
 乾緑郎でございます。

 苦節(?)15年の投稿生活にやっとピリオドを打ち、
『忍び外伝』(朝日新聞出版)、
そして今回の『完全なる首長竜の日』と、
連続して本を出すことが出来ました。

 去年の春頃は、かみさんから
「あんたも来年で40歳だから、もう後がないわよねえ」
などと言われて肩身の狭い思いをしていたものが、お陰さまで、
夏頃からトントン拍子にいろいろなことが良い方向へと変化しました。

 浮かれたり喜んだりというよりは、今回の小説、
『完全なる首長竜の日』の登場人物たちが抱えているのと
同様の不安に苛まされている毎日です。これ本当に現実かよって感じです。


 さて、これが夢の中の出来事でないことを祈りながら、
作品の宣伝をさせていただきます。

 あらすじ等はいろいろなところで紹介されていますので、
そちらは省きますが、この作品は、ミステリーであるのにも拘わらず、
作中では、これといった事件も起きませんし、
警察も出動しなければ、名探偵も登場しません。
犯人探しのミステリーですらありません。

「何がミステリーなのか?」を推理しながら読み進んでいただけると、
そのうち「えっ?」と思うような記述に行き当たることになると思います。

 作中にも出て来ますが、マグリットという画家の
『光の帝国』という作品があります。

 細部は写実的に描写されており、一見するとただの風景画に見えますが、
作品全体を見渡した時に、初めて、
それがこの世に存在しない風景だということがわかる。

 そういう作品を目指しました。

 書物の形をした迷路の入り口だと思って手に取っていただければ幸いです。
 ちゃんとこちらの世界に戻って来られるよう、お気をつけください。
 それでは。


                                乾緑郎



●著者プロフィール
いぬい・ろくろう。1971年、東京都生まれ。
鍼灸師の仕事をする傍ら、
劇作家として複数の劇団に脚本を書き下ろしている。
『忍び外伝』(朝日新聞出版)で、
2010年第2回朝日時代小説大賞も受賞し、
新人賞二冠を達成。


※『このミステリーがすごい!』大賞HP

konomys
posted at 17:34

2010年10月27日

2010年10月05日