2013年04月15日

被災地で起きる謎と奇跡 by友井羊

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『僕はお父さんを訴えます』(宝島社文庫)でデビューした友井羊さんの第二作目
『ボランティアバスで行こう!』が発売になりました。

東日本大震災直後、著者自身もボランティアとして
被災地に何度も赴くなかで構想していった作品。

友井さんに、作品の想いを語っていただきました。

(『このミス』編集部)
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こんにちは、友井羊です。

デビュー作『僕はお父さんを訴えます』に続く二作目『ボランティアバスで行こう!』が発売になります。

この作品は、大震災で被害を受けた地域へ支援のために向かう“ボランティアバス”を舞台にした連作短編集です。被災地の状況や支援活動を描写しながら、ボランティア参加者たちが現地で出くわす謎と推理を描いています。

正直、震災をテーマとして選ぶことに葛藤がありました。震災のとき筆者は関東にいて、たいした被害も受けず温かい家で過ごすことができました。住処や大切な人を失った方がたくさんいるなか、テーマとして扱ってはいけないのではと悩んだのです。

しかしボランティアとして何度か現地を訪れてみて、被害を受けていない身だからこそ書ける内容があるのではないか、と思うようになりました。その結果生まれたのが、この『ボランティアバスで行こう!』になります。

被災地に想いを馳せるとき、いつも思い出す出来事があります。瓦礫撤去の際、筆者は休憩の時間にトイレへ向かいました。一面に広がる瓦礫に、筆者は打ちのめされていました。
その途中のことです。荒れ果てた家の前におばあさんが腰かけていました。筆者が会釈をすると、おばあさんは「ボランティアかい?」と尋ねてきました。うなずくと、おばあさんはにこやかな笑顔を浮かべて言いました。「来てくれてありがとうなあ」

この時に筆者が抱いた気持ちがこの作品に込められています。ぜひ『ボランティアバスで行こう!』を読んでいただければ幸いです。

友井羊


●著者プロフィール
ともい・ひつじ。1981年、群馬県生まれ。
『僕はお父さんを訴えます』にて第10回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞し、2012年デビュー。
驚きのラストが感動に変わる『ボランティアバスで行こう!』発売中。


※『このミステリーがすごい!』大賞HP

konomys
posted at 23:31

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