2012年“隠し玉”作品、発売です!
こんばんは。
夏休み、海や花火などのアウトドアを思いきり楽しんだからこそ、
部屋のなかでの読書の良さも感じるものです。
『このミス』大賞シリーズからの今月のオススメは、なんと4作品あります!
第9回、10回のときに応募いただき、受賞はならなかったものの
編集部推薦作品! ということで、改稿を重ね、一冊にすることができました。
青森県のとある集落を舞台にした本格ミステリー『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』や、
童謡を歌いながらやってくる!? シリアル・キラー『公開処刑人 森のくまさん』堀内公太郎著、
凸凹先生コンビが活躍する学園ものの『保健室の先生は迷探偵!?』篠原昌裕著、
京都にある珈琲店を舞台にした日常の謎もの『珈琲店タレーラン また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』岡崎琢磨著
など、よりどりみどり!
それぞれの著者に、デビューの意気込みを語っていただきました。
一番好きな作品を見つけてみてください♪
(『このミス』編集部)
◆『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』岡崎琢磨
初めまして。岡崎琢磨と申します。
このたびデビュー作となる『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』が発売となりました。
京都の喫茶店を舞台に、女性バリスタが不可解な出来事を解決していく”日常の謎”連作短編です。
――2010年10月某日。僕は大学の先輩と、オクトーバーフェストのイベントでにぎわう飲み屋に来ていた。
店内には老若男女、日本人だけでなく外国人も大勢つどい、みなビアマグを片手に思い思いに語らっている。
はじめは野郎二人、隅っこでぼーっと突っ立っているしかなかった、コミュニケーション能力に難のある僕(ら)。それでも酔いの力を借りて、あくまでも場にふさわしい振る舞いとして、懸命に他者への接触を図ろうとする。高級住宅街に在住の小粋なマダム、Snow Patrolが好きだというイギリスの青年――そして、同年代のチャーミング
な女性と口を利く機会が訪れたのだ。
僕は訊ねた。「お仕事は?」実にありきたりな、しかもコミュニケーション能力を欠いた質問である。
彼女は答えた。「バリスタです」
そのとき、僕は思ったのだ。響きがかっこいいな、と。次回作の探偵役に、バリスタというのはどうだろうか、と。
作品が生まれるきっかけなんてそんなものだ。彼女の名前は、今でも知らない。
小説を書き始めてからというもの、僕は絶えず心のどこかで”でも、どうせ作家になんてなれないんだろうな”と思っていました。
それでもデビューが決まり、こうして出版にこぎつけることができました。今でもどこか他人事のようですらあり、まったく人生、良くも悪くも思い通りにいかないものです。
名も知れぬ一人の女性との拙劣な会話が僕の人生を変えたように、名もなき新人作家の手になる本作が、誰かの人生を変える……とはいかないまでも、誰かの日常をちょっぴり明るく彩ってくれたらな、と願っています。
携わってくださった方、支えてくださった方、応援してくださった方、本当にありがとうございました。
まだまだ未熟な僕ではありますが、これからの成長を見守っていただければ幸いです。
まずはこの本を皆さまの手にとっていただけることを楽しみに……そして、これからも素敵な作品をお届けできるよう日々精進いたしますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
岡崎 琢磨
○プロフィール
おかざきたくま。
1986年、福岡県生まれ。京都大学法学部卒業。
第10回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉として、本作でデビュー。
現在は寺院勤務。
――――――――――
◆『保健室の先生は迷探偵!?』篠原昌裕
できることならば、ここで人生が終わってほしい。
そう思えるくらいの幸せと感謝を噛みしめております。
この物語が、世に出られたのは、
「奇跡」としか言いようがありません。
最終選考に残れなかった作品が、
奇跡的な軌跡を辿って「本」という形になったのです。
僕は、「殺人画家は 私です」という物語を、未熟児として産みました。
ですが、たくさんの方に育てられ、なんとか「保健室の先生は迷探偵!?」
という物語に成長してくれました。
この作品に関わってくださったすべての方々、
この作品を手に取ってくださったすべての方々に感謝いたします。
本当に、本当にありがとうございます。
この作品のミステリーは「すごい」ものではないかもしれませんが、
「かわいいな」くらいに思っていただけると嬉しいです。
私事で恐縮ですが、物語の発想源となったモモとサクラの冥福と、
ウララの幸せを、この場を借りて祈念させてください。
『保健室の先生は迷探偵!?』
何卒よろしくお願いいたします。
篠原昌裕
○プロフィール
しのはらまさひろ。
神奈川県、横須賀市生まれ。慶應義塾大学環境情報学学部卒業。
第10『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉として本作でデビュー。
現在は執筆に専念している。
――――――――――
◆『公開処刑人 森のくまさん』堀内公太郎
こんにちは、もりのくまたろう……じゃなかった、堀内公太郎です。
好きなお酒は芋焼酎です。
「ユー、隠し玉でデビューしちゃいなよ」
「マ、マジっすか!?」
そんなやり取りが交わされたのが、今年一月終わりのこと。あれから半年、このたび本当にデビューすることになりました。世の中、いろいろと驚くことがあるなあと思う今日このごろです。
『公開処刑人 森のくまさん』は、第9回このミス大賞最終候補『森のくまさん――The Bear――』を改訂した作品です。ここで「あれ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。なぜなら、今回同時発売される残り3作品は、いずれも第10回の応募作品から選ばれているから。
このあたりの理由は、茶木則雄さんが解説の中で説明してくださっています。僕も知らなかった(!)裏事情が書かれていますので、そちらでご確認ください。ちなみにこの解説、ちょっと感動するほどうれしいことも書いてありました。どこで感動したのかは、みなさんのご想像にお任せします。ま、すぐに分かると思いますけど。
ところで、僕は第何回このミス大賞のデビューということになるのでしょう。
宝島社さんに質問したところ、どうやら第10回の隠し玉という扱いだそうです。でも、本当は第9回なのに第10回だなんて、なんだか留年したっぽいですよね。ダメな子が一年遅れて、やっと卒業できたみたいな……。
ま、そんなことはさておき、出版に向けては、応募時の作品を全面的に改稿しています。自分で読んでいても、見違えるようになったと自信を持って言えるほどです。
カワイイだけがくまじゃない!!
一味違うシリアルキラーをぜひお楽しみください。
堀内公太郎
○プロフィール
ほりうちこうたろう。
1972年、三重県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。
第10回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉として、本作でデビュー。
翻訳会社に勤務。
――――――――――
◆『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』矢樹純
『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』は、第10回『このミス』大賞で隠し玉に選んで頂いた作品に大幅な改稿を施し、改題したものです。
最終選考の際に弱いと指摘された部分をごっそり別のトリックに入れ替え、さらに新しいトリックをねじ込み、全体的にも細かく手を加えてありますので、魅力であるところは残しつつも投稿時とは全く別の作品に仕上がっています。
本作は自分の作家デビュー作となります。
大学教授である気の小さい主人公(欠陥品)が因習の残る東北の山村の雪に閉ざされたかごめ荘を訪れ、その道中で出会った心理カウンセラーの桜木と名乗る身勝手な探偵役(変態)とともに、次々と起こるトラブルに巻き込まれていく、という内容です。
ホラー、サスペンス、そしてミステリーがお好きな方にはきっと楽しんでもらえるお話ですので、多くの方に読んで頂きたいです。
文庫サイズで場所を取りませんし、この品質でこのお値段でしたら買って損はさせないと思います。皆様どうぞよろしくお願いいたします。
矢樹純
○やぎじゅん。
1976年、青森県生まれ。弘前大学卒業。
第10回『このミステリーがすごい!』隠し玉として、本作でデビュー。
実の妹、加藤缶とコンビを組み、加藤山羊のユニット名で活動している。
単行本に『イノセントブローカー』『女囚霊 塀の中の殺戮ゲーム』 (ともに小学館)があり「ビックコミックオリジナル増刊」にて「あいの結婚相談所」を連載中。
※『このミステリーがすごい!』大賞 HP
夏休み、海や花火などのアウトドアを思いきり楽しんだからこそ、
部屋のなかでの読書の良さも感じるものです。
『このミス』大賞シリーズからの今月のオススメは、なんと4作品あります!
第9回、10回のときに応募いただき、受賞はならなかったものの
編集部推薦作品! ということで、改稿を重ね、一冊にすることができました。
青森県のとある集落を舞台にした本格ミステリー『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』や、
童謡を歌いながらやってくる!? シリアル・キラー『公開処刑人 森のくまさん』堀内公太郎著、
凸凹先生コンビが活躍する学園ものの『保健室の先生は迷探偵!?』篠原昌裕著、
京都にある珈琲店を舞台にした日常の謎もの『珈琲店タレーラン また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』岡崎琢磨著
など、よりどりみどり!
それぞれの著者に、デビューの意気込みを語っていただきました。
一番好きな作品を見つけてみてください♪
(『このミス』編集部)
◆『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』岡崎琢磨
初めまして。岡崎琢磨と申します。
このたびデビュー作となる『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』が発売となりました。
京都の喫茶店を舞台に、女性バリスタが不可解な出来事を解決していく”日常の謎”連作短編です。
――2010年10月某日。僕は大学の先輩と、オクトーバーフェストのイベントでにぎわう飲み屋に来ていた。
店内には老若男女、日本人だけでなく外国人も大勢つどい、みなビアマグを片手に思い思いに語らっている。
はじめは野郎二人、隅っこでぼーっと突っ立っているしかなかった、コミュニケーション能力に難のある僕(ら)。それでも酔いの力を借りて、あくまでも場にふさわしい振る舞いとして、懸命に他者への接触を図ろうとする。高級住宅街に在住の小粋なマダム、Snow Patrolが好きだというイギリスの青年――そして、同年代のチャーミング
な女性と口を利く機会が訪れたのだ。
僕は訊ねた。「お仕事は?」実にありきたりな、しかもコミュニケーション能力を欠いた質問である。
彼女は答えた。「バリスタです」
そのとき、僕は思ったのだ。響きがかっこいいな、と。次回作の探偵役に、バリスタというのはどうだろうか、と。
作品が生まれるきっかけなんてそんなものだ。彼女の名前は、今でも知らない。
小説を書き始めてからというもの、僕は絶えず心のどこかで”でも、どうせ作家になんてなれないんだろうな”と思っていました。
それでもデビューが決まり、こうして出版にこぎつけることができました。今でもどこか他人事のようですらあり、まったく人生、良くも悪くも思い通りにいかないものです。
名も知れぬ一人の女性との拙劣な会話が僕の人生を変えたように、名もなき新人作家の手になる本作が、誰かの人生を変える……とはいかないまでも、誰かの日常をちょっぴり明るく彩ってくれたらな、と願っています。
携わってくださった方、支えてくださった方、応援してくださった方、本当にありがとうございました。
まだまだ未熟な僕ではありますが、これからの成長を見守っていただければ幸いです。
まずはこの本を皆さまの手にとっていただけることを楽しみに……そして、これからも素敵な作品をお届けできるよう日々精進いたしますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
岡崎 琢磨
○プロフィール
おかざきたくま。
1986年、福岡県生まれ。京都大学法学部卒業。
第10回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉として、本作でデビュー。
現在は寺院勤務。
――――――――――
◆『保健室の先生は迷探偵!?』篠原昌裕
できることならば、ここで人生が終わってほしい。
そう思えるくらいの幸せと感謝を噛みしめております。
この物語が、世に出られたのは、
「奇跡」としか言いようがありません。
最終選考に残れなかった作品が、
奇跡的な軌跡を辿って「本」という形になったのです。
僕は、「殺人画家は 私です」という物語を、未熟児として産みました。
ですが、たくさんの方に育てられ、なんとか「保健室の先生は迷探偵!?」
という物語に成長してくれました。
この作品に関わってくださったすべての方々、
この作品を手に取ってくださったすべての方々に感謝いたします。
本当に、本当にありがとうございます。
この作品のミステリーは「すごい」ものではないかもしれませんが、
「かわいいな」くらいに思っていただけると嬉しいです。
私事で恐縮ですが、物語の発想源となったモモとサクラの冥福と、
ウララの幸せを、この場を借りて祈念させてください。
『保健室の先生は迷探偵!?』
何卒よろしくお願いいたします。
篠原昌裕
○プロフィール
しのはらまさひろ。
神奈川県、横須賀市生まれ。慶應義塾大学環境情報学学部卒業。
第10『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉として本作でデビュー。
現在は執筆に専念している。
――――――――――
◆『公開処刑人 森のくまさん』堀内公太郎
こんにちは、もりのくまたろう……じゃなかった、堀内公太郎です。
好きなお酒は芋焼酎です。
「ユー、隠し玉でデビューしちゃいなよ」
「マ、マジっすか!?」
そんなやり取りが交わされたのが、今年一月終わりのこと。あれから半年、このたび本当にデビューすることになりました。世の中、いろいろと驚くことがあるなあと思う今日このごろです。
『公開処刑人 森のくまさん』は、第9回このミス大賞最終候補『森のくまさん――The Bear――』を改訂した作品です。ここで「あれ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。なぜなら、今回同時発売される残り3作品は、いずれも第10回の応募作品から選ばれているから。
このあたりの理由は、茶木則雄さんが解説の中で説明してくださっています。僕も知らなかった(!)裏事情が書かれていますので、そちらでご確認ください。ちなみにこの解説、ちょっと感動するほどうれしいことも書いてありました。どこで感動したのかは、みなさんのご想像にお任せします。ま、すぐに分かると思いますけど。
ところで、僕は第何回このミス大賞のデビューということになるのでしょう。
宝島社さんに質問したところ、どうやら第10回の隠し玉という扱いだそうです。でも、本当は第9回なのに第10回だなんて、なんだか留年したっぽいですよね。ダメな子が一年遅れて、やっと卒業できたみたいな……。
ま、そんなことはさておき、出版に向けては、応募時の作品を全面的に改稿しています。自分で読んでいても、見違えるようになったと自信を持って言えるほどです。
カワイイだけがくまじゃない!!
一味違うシリアルキラーをぜひお楽しみください。
堀内公太郎
○プロフィール
ほりうちこうたろう。
1972年、三重県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。
第10回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉として、本作でデビュー。
翻訳会社に勤務。
――――――――――
◆『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』矢樹純
『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』は、第10回『このミス』大賞で隠し玉に選んで頂いた作品に大幅な改稿を施し、改題したものです。
最終選考の際に弱いと指摘された部分をごっそり別のトリックに入れ替え、さらに新しいトリックをねじ込み、全体的にも細かく手を加えてありますので、魅力であるところは残しつつも投稿時とは全く別の作品に仕上がっています。
本作は自分の作家デビュー作となります。
大学教授である気の小さい主人公(欠陥品)が因習の残る東北の山村の雪に閉ざされたかごめ荘を訪れ、その道中で出会った心理カウンセラーの桜木と名乗る身勝手な探偵役(変態)とともに、次々と起こるトラブルに巻き込まれていく、という内容です。
ホラー、サスペンス、そしてミステリーがお好きな方にはきっと楽しんでもらえるお話ですので、多くの方に読んで頂きたいです。
文庫サイズで場所を取りませんし、この品質でこのお値段でしたら買って損はさせないと思います。皆様どうぞよろしくお願いいたします。
矢樹純
○やぎじゅん。
1976年、青森県生まれ。弘前大学卒業。
第10回『このミステリーがすごい!』隠し玉として、本作でデビュー。
実の妹、加藤缶とコンビを組み、加藤山羊のユニット名で活動している。
単行本に『イノセントブローカー』『女囚霊 塀の中の殺戮ゲーム』 (ともに小学館)があり「ビックコミックオリジナル増刊」にて「あいの結婚相談所」を連載中。
※『このミステリーがすごい!』大賞 HP